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統合プラットフォームの選択をする際、IT 部門の意思決定者は多くのことを考慮しなければなりません。それは、「チームのニーズ」「解決すべきユースケース」「顧客に提供する価値」「コスト削減や時間短縮の可能性」、そして何よりも「ROI(投資対効果)」が大切です。自社に導入する統合プラットフォームを決定しても、そこで仕事が完了するわけではありません。インテグレーション戦略の策定を開始しなければなりません。インテグレーション戦略を策定を具体化する前に、数値目標を設定することをお勧めします。戦略に基づいて履行される業務がビジネス目標やその優先順位と合致していることを、関係者に合意してもらうことが大切です。そのために、チームが計測かつ実証できる数値目標を設定することは必須でしょう。その過程で、インテグレーション戦略とビジネス目標との整合性が取れているか?それををリアルタイムで把握できるのか?といった疑問が生じることでしょう。こうした整合性を取るためには、どのような方法が最適でしょうか?

本ブログ記事では、そのような疑問に回答しながら、インテグレーション戦略とビジネス目標との整合性を図るためのベストプラクティスを紹介します。

ビジネスに貢献する数値に基づいた意思決定

通常、統合プラットフォームを導入するとき、選択するプラットフォームとそのコスト分析に加えて、他のビジネスメリットやテクノロジーメリットに関する指標も考慮します。メリットの指標には、「開発コストの削減」「メンテナンスコストの削減」「技術チームの稼働時間」「プラットフォームがフル稼働するまでの時間」などがあります。これらの指標は、IT 部門の意思決定者にとっては大変重要です。しかし、経営陣がこれら指標に同じレベルで関心を持つとは限りません。経営陣は、インテグレーションの実装に関する技術的な情報よりも、会社経営に直接関係することに関心が置かれています。

そのため最初から、「収益の増加」「運用コストの削減」「品質の向上」「顧客満足度の向上」といった収益や利益に関連する数値を計測し、報告することが大切です。そうすることで、プラットフォームの選択の先にある、インテグレーション戦略とビジネス目標の整合性という将来的に必ず議題になるポイントに、経営陣の関心を向けさせることが可能になります。さらに経営陣にとって重要なもうひとつの指標として、新製品や新サービスの市場投入までの時間の短縮をアピールすることも考えるべきです。

より短い時間で、品質レベルを落とさず、会社や顧客のニーズにも応えることができれば、経営陣を味方につけることができます。市場投入の時間短縮は、統合プラットフォームで何を解決するかというユースケースから始まります。そして、よく知られた 2 つの指標である『再利用率』と『単体のインテグレーションコスト』の組み合わせをシミュレートして説明することが一般的ではないでしょうか。

ビジネス目標に即した再利用の促進と再利用率

再利用率を活用することで新しいニーズが発生するたびに、 IT チームが新しいインテグレーションをゼロから開発する手間を省くことができます。最初のユースケースを明確にすることの利点は、経営陣の持つニーズを理解し、それに完全に同意することを確認することです。同時に、API 主導モデルに基づくインテグレーション予測でこれらのニーズを説明できるようになります。

API 主導モデルとユースケースを組み合わせることで、すぐに開発する API の数とその将来的な予測数の算出が可能になります。それだけではありません。インテグレーション戦略立案の初期段階から、ユースケースに倣って、ビジネス目標に基づいた統合プラットフォームの導入プロセスを分析しておけば、基準となるAPIの 再利用率を算定することができます。

あらゆる統合プラットフォームの導入メリットを考慮して、そのインパクトを分析したと仮定しましょう。API の開発と(APIを利用する)製品やサービス、機能を開発するために必要となる全体的な価値を得ることができます。一般的に、開発の各プロセスには異なるユースケースが関連付けられ、それぞれに対してビジネスの期待値が定義されます。このビジネス期待値は、「ユースケース」「インテグレーション予測」そして「API 主導モデルに基づく価値」に変換することができます。

価値の測定は正確さと時間を必要とします。統合プラットフォームを決定するときの初期段階で行うことを強く推奨します。この価値は「再利用率」を説明変数として含んでいます。MuleSoft の統合プラットフォームは、「再利用率」をリアルタイムで測定することが可能です。

プロジェクトの計画を立てるときは、総利益から算定できる価値に加え、その価値の達成度や貢献度を把握できる指標の両方を明確にしなければなりません。

これらはすべて、以下の要素を組み合わせて算定することが可能です。

  • 管理ツールとしてのユースケース
  • インテグレーション手法としての API 主導
  • すべての価値要素の数値化による価値の特定
  • MuleSoft の統合プラットフォームで再利用率をリアルタイムに測定する機能

このような観点から、ユースケースに基づいた設計通りに再利用率が期待値に達すれば、統合プラットフォームの総合的な価値が保証されることになります。

そのため、再利用率の時間的な推移は、インテグレーション戦略とビジネス目標の整合性を示すための優れた指標となるのです。これらの特性が考慮されていない統合プラットフォームに基づくインテグレーション戦略は、おそらく、インテグレーションコストの継続的な増加というリスクを消し去ることは不可能でしょう。

再利用率とビジネス目標との関係性を理解する

API の再利用率は時間とともに変化します。API 主導のアプローチを正しく適用していれば、API 再利用率は定常値に達するまで増加します。統合プラットフォーム導入の初期段階は、チームを編成して軌道に乗せていく途中なので、API 再利用率はどうしても低くなります。この初期段階において、コンポーザブルエンタープライズ (組み立て可能な組織形態) の基盤が構築されていきます。

そして、いずれは数値も安定し、IT チームが目指すAPI 再利用率に近づくときが来るでしょう。この期待値は、ビジネス目標との整合性を検証かつ維持するために重要かつ必要なものなのです。

下の図では、API主導の成熟度の高まりにともない API の再利用率が高まり、インテグレーションコストの単価が下がっていることがわかります。インテグレーション単価(Cost per Integration)とは、個々の API またはインテグレーションにかかる費用のことです。

見方を変えると、API を再利用することで、インテグレーション単価が下がるだけでなく、市場投入までの時間も短縮されるということです。また、統合プラットフォームを導入しない状況が続くと、インテグレーションコストは、急激とまではいかないまでも直線的に増加することがわかります(赤い点線:Status Quo Cost)。

【図1】このグラフはAPI主導の成熟度レベルに伴うインテグレーション単価(破線(緑))とAPIの再利用率(点線(黒))、原状維持した場合のコスト(点線(赤))を図示したものです。

同じように、開発や運用を含めた「単体のインテグレーションコスト(APIひとつ当たりのコスト)」も、最適値に達するまで減少していきます。総コストの指標とは異なり、「単体のインテグレーションコスト」の減少とAPI の総数に相関性はありません。したがって、プロジェクトの規模や実装するインテグレーションの数に左右されることもありません。また、各インテグレーションの実装が終了した時点で、簡単に取得できる指標でもあります。この指標の興味深い点は、規模の経済に従っていることです。

MuleSoft を使うと、プロジェクト全体の再利用率を簡単に把握できます。再利用率が上図の曲線(黒い点線)より上で推移する場合、予定より早く最適値に達せられます。しかし、デプロイのための余分なコストに注意が必要です。

一方、再利用率がこの曲線より下で推移してしまうと、想定以上に開発スピードが遅いということになります。そのため、インテグレーションの計画と実装において、開発スピードが遅くなっている原因に注意しなければなりません。再利用率の推移が上であっても下であっても、インテグレーション単価の分析から実態への仮説が得られるでしょう。たとえば、チームの開発期間が短くなったのは、よりアジャイルな開発手法の採用に効果があったからかもしれません。

以上、インテグレーション戦略とビジネス目標の整合性を図る方法を論じてきました。しかし、インテグレーション単価や再利用率などのインテグレーション戦略に関する KPI は、経営陣にとって重要度が低いでしょう。これに基づいて整合性を証明・報告するわけにはいきません。本ブログ記事の冒頭で触れたように、IT 部門と経営陣の双方が優先すべき指標である「市場投入までの時間」に着目することが非常に重要なのです。

市場投入までの時間を短縮させ、その成果を見せる

会社をコンポーザブルエンタープライズ(組み立て可能な組織)に変換することを目指す場合、市場投入までの時間の短縮を目標としたインテグレーション戦略を採用しなければなりません。

ユースケースは『ビジネス』と『インテグレーション』の序章であり、後者を前者に一致させるべきであることは上述しました。さらに、再利用率とその進化が、経営陣によるIT 部門の支持を獲得するという協調関係を保証するということも確認しました。しかし、再利用率だけでは経営陣を動かすような指標にはなりえません。経営陣を納得させるためには、インテグレーション戦略が正しい方向に進んでいることを経営陣が理解かつ安心できる標準的な評価基準に、再利用率を変換する必要があります。時間の経過とともにインテグレーション単価が下がることで、そのギャップを埋めることもできます。

全体的なインテグレーションコストの削減は、「自動化」「自動プラットフォーム管理」「プラットフォームレベルでのセキュリティポリシー」など、MuleSoft のさまざまなメリットによるものです。

ここでは純粋な開発要素を分析することにしましょう。それは『再利用率の(隠れた)役割』です。下の図は、最初にインテグレーションの総コストが減少し、それに続いてインテグレーション単価の減少の実現。さらに、市場投入までの時間が短縮されること(実線(緑))を表しています。

【図2】このグラフは、インテグレーションプロジェクトの時間的進捗に伴って、各コストの削減(棒グラフ(青))と市場投入までの時間の短縮(実線(緑))を図示しています。

図1では、再利用率が最適値に近づくにつれ、インテグレーション単価が減少することが示されていました。

図2では、インテグレーションプロジェクトに係わるひとつのチームが特定のユースケースのために再利用率を向上させると、他のチームもアセットの再利用が積極的に始めるため、以降に開発される新製品や新サービスの市場投入までの時間が短縮されることを表しています。

インテグレーション単価のうち必要とする開発要素を洗い出して分析してみると、以降のユースケースではその要素は減少します。その結果、市場投入までの時間短縮がされていく経緯が明確になるでしょう。この改善は、開発期間の短縮、ひいては市場投入までの時間短縮を実現します。インテグレーション戦略がビジネス目標と整合していることを証明する上で、経営陣からの同意をより得やすくなるプランとなります。

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インテグレーション戦略をビジネス目標に合わせるための次ステップ

過去、「インテグレーションで測定できる数値」と「ビジネス目標の到達度を測定するアプローチ」との間には、常にギャップが存在していました。IT 部門へのプレッシャーがますます高まっている現在、このギャップを解消し、経営陣が共感し、理解できる言葉でこの整合性を証明することが求められています。最適な方法は、統合プラットフォームの選定段階から、このような整合性分析を採用し、その選定項目として採用することです。もし、MuleSoft を統合プラットフォームの選択肢のひとつとして考えているのであれば、経営陣に市場投入までの時間短縮をプレゼンテーションできる絶好の機会です。数多くのAPIやサービスが事前に用意されているため、それらの再利用を積極的に進めることで、コスト削減と市場投入時間の短縮が確実なものとなります。