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「ソフトウェア集約型のシステムにおける最大の失敗原因は、技術的な障害ではなく、間違ったものを作ってしまうことである」

— Mary Poppendieck(リーンソフトウェアムーブメント創始者)

効果的なAPIプログラムには先行投資が必要です。つまり、組織の強みや弱みを評価し、目標や理念を定義し、ターゲットとなる顧客を熟知しなければなりません。これらはすべて、当社がAPI のための設計図において最重要視している「デジタル戦略の策定」のために必要な要素です。

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戦略策定は本来、内省的なプロセスであり、多くの組織が苦労しています。社会の混乱による不安のなかで、自社ビジネスの現状を見直すのために時間を費やすことは、不必要な遅延を生んでいると思えるかもしれません。しかし、綿密なデジタル戦略もなくデジタルトランスフォーメーション(DX)に着手するのは、コンパスを持たずに航海に出るようなものです。

優れた戦略とは、自社製品やサービス、その提供方法そして自社の技術力を正当に評価することから始まります。スタートラインでの自社の状況を認識することは何より重要です。壮大なビジョンを描くことは誰にでもできます。しかし現在の能力を明確に把握しなければ、自分たちが取り組むべき施策の大きさを理解できません。

現在の状況とこれから目指すべき方向がわかれば、「目標」と「方針」を設定できます。「目標」とは、企業が獲得したいビジネス成果を明確にするものであり、「方針」とは、その成果を獲得する方法を示すものです。方針は見過ごされたり、軽視されたりしがちですが、事業規模を拡大するうえで、Amazonのリーダーシッププリンシプルのようなクリアに明示された方針を持つことは重要です。企業横断的に共通の方針があれば、組織の各部門と共通理解を深めることができ、リーダーに逐一、方向性を確認する必要はなくなります。その結果、より速く、より少ない摩擦でビジネスを進めることができるのです。

目標と方針に加えて、APIの利用対象者を明確にすることをお勧めします。APIを開発する上で、そのAPIを利用している製品やサービスのユーザー、APIを使用する組織、APIとつなげるアプリケーションの開発者を知ることが重要です。これらの関係者を理解しなければ、APIは軌道に乗りません。各関係者がどのような目標を持ち、それは組織が設定した目標とどのように合致するのでしょうか?

次は、戦略策定のなかでも醍醐味の1つとなる部分です。想像力を解き放ち、ビジネスと顧客との関係をどのように改善できるかを考えます。大胆かつ広い視野で考えてみてください。顧客にとって望ましいことは何でしょうか?現状のテクノロジーやビジネスプロセスに制約されないとすれば、どのようなエクスペリエンスを提供できますか?現在の制約にとらわれることで、APIの可能性についての視野をせばめてしまうことがあります。これを取り払えば、新しいエクスペリエンスを思い描き、その基盤となるAPIを決定できます。その後、これらのAPIを取り巻くエコシステムを検証します。組織内でAPIを使用するのは誰ですか?組織外で使用するのは誰でしょう?そのエクスペリエンスにサードパーティのAPIは必要ですか?そうであれば、どのAPIを利用しますか?

これと並行して、APIプログラムを軌道に乗せるために、イノベーション事例を作らなければなりません。組織に新しいやり方が必要となる説得力のある理由を、時間をかけて明らかにします。(自分たちの考えの)全てが当然のこととと決めつけないことです。その理由がいかに正当であっても、抵抗は発生します。新しいAPIの構築だけでなく、APIプログラム全体についての指標とメリットを提示して、そうした抵抗に対して説得できるようにしましょう。プログラムの評価の仕方や、プログラムを実施する際の参加者に対する報酬の与え方次第で、成功確率と成功の大きさが決まります。

プログラムを開始するためには、準備が必要です。小さいことから始めて、そこから勢いを付けていくのです。この時点で、ワークショップでイメージした顧客体験が実際に形づくられていくのがわかります。

MuleSoftは、組織のデジタル戦略の策定を支援するため、APIプログラムワークショップを提供しています。目標や方針の設定、利用対象者の定義、顧客体験の再考について詳細をご覧ください。