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デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、企業のインテグレーションへのニーズも高まっています。企業が、自社のデータやアプリケーション、プラットフォームのエコシステムをビジネス目標に合わせ、効率性や接続性を高めるために、今まで以上のスピードが求められるようになりました。企業にとってインテグレーションを「やること」は自明のこととなり、むしろ「いつ始めるのか」が重要な問い掛けになりました。 

2022年の接続性ベンチマークレポートによると、組織はAPIを活用することで、収益の35%をAPIそのものやAPIを利用しているソリューションから得ています。また、企業は平均976ものアプリケーションを組織内で利用しているが、それらの3分の2以上はスタンドアロンで動作しているということです。平均寿命が4年と短いことも考えると、全体を管理することは非常に困難と言わざるを得ません。それでも、企業がコスト効率の高いアプローチを追い求める上で、インテグレーションなしではこの戦略を履行することはできません。

本稿では、インテグレーションの概要を説明するとともに、APIインテグレーションの構成要素と、優れたAPI戦略立案のためのカギについて紹介します。

インテグレーション戦略とは

インテグレーション戦略について論じる前に、その核となるシステムインテグレーションについて理解することは重要です。インテグレーションとは、複数の企業システムを接続・連携させ機能させるプロセスを指します。またインテグレーション戦略とは、ITチームがビジネスインテグレーションの目標を達成するために作成するプロセス、手順、ロードマップのことです。

インテグレーション戦略を立案する場合、複数の選択肢を評価してどのゲームプランが全体的なビジョンに最も適しているかを確認することが重要です。そして、企業が多様な方法でシステムのインテグレーションを実施する中で、1つの指針となるのがAPI主導の接続性です。

APIインテグレーションはアプリケーション間の柔軟なコミュニケーションを実現し、従業員がクラウドベースアプリの利点を活用しながら、イノベーションを加速できる安全なソリューションとなりました。同様に、APIインテグレーションを戦略に取り入れることで、組織は余分な時間やコストを費やすことなく、画期的なイニシアチブを効率的に開発・展開できるようになります。

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APIインテグレーションの構成要素

インテグレーションを構成する要素は複数あります。これらは開発サイクルにおける製品化を推進し、企業戦略を理解かつ実践する上で重要な役割を果たします。

  • API:複数のアプリケーション間で安全なやりとり(情報の送受信)を提供する仲介役のソフトウェアのこと。通常、アプリケーション側のトリガーにて操作が実施される。 
  • コネクタ:パッケージ化されたコード。そのコネクタが存在するアプリケーションの接続性や運用の詳細を簡素化することで、外部からは確認できなくしている。通常、既存のコネクタを提供する市販(COTS)のアプリケーションと連携する際に使用。
  • コードテンプレート:複雑なコードからなるプレビルドアプリケーション。複数のプロジェクトにそのままインポートして、機能を再利用したり、カスタマイズしたりすることが可能。コードテンプレートは開発者の作業をスピードアップし、迅速なアプリケーション開発をサポートします。
  • APIフラグメントRAML仕様の再利用可能なコンポーネント(データオブジェクト、動作、ドキュメント)。API設計の構成ユニットを構築する。 
  • メッセージ:データオブジェクト(属性と値の集合)の公式な形式。2つ以上のアプリケーション間で共有される。メッセージはJava Message Service(JMS)準拠のメッセージングインフラストラクチャのコンテキスト内で送受信が行われる。 
  • キュー、エクスチェンジ、トピック:アプリケーション間のメッセージのディスパッチをサポートする、メッセージングシステム内のチャネル。 
  • APIポリシー:APIの規制、管理、セキュリティ、サービス品質の徹底を促すための指針(プラクティス)。セキュリティ、トラフィック管理、SLA(Service Level Agreement)などが含まれる。
  • 共通サービス:プラットフォームのままで提供されないユーティリティのこと。顧客自身が共通で使用するアプリケーションを開発し、複数のアプリケーションやAPIで使用することが可能。これにはキャッシングフレームワーク、ロギングフレームワーク、監査フレームワークなどが含まれる。 
  • セキュリティグループ:類似するユーザーロールを集め、これらのロールに必要な権限を付与したグループ。一度定義することで、プロジェクト内または複数のプロジェクトでセキュリティグループの使用が可能になる。

APIインテグレーション戦略を立案する

APIインテグレーション戦略立案の第一歩は、自社で利用しているシステムの情報収集です。どのアプリケーションやシステムが使用されているか、今後どんなテクノロジースタックを追加する可能性があるかを、現場のチームに確認することも不可欠です。また、以下に挙げるインテグレーション戦略の手法を比較し、自組織にとっての最適解を選択すべきでしょう。

  • ビッグバンアプローチ:一度にすべてのシステムのインテグレーションを実装・刷新
  • 「ストリーミング」インテグレーション:プロジェクト単位でシステムのインテグレーションを実装・追加
  • 段階的:優先度の高いものから、いくつかのシステムインテグレーションに絞って段階的に実装
  • トップダウンまたはボトムアップ:システムの使用率または重要度に従ってインテグレーションを実装

戦略がないと、ITチームは場当たり的にインテグレーションを実施してしまいます。ITチームが些末なインテグレーション業務に多くのリソースを割いてしまうため、生産性の向上が望めないばかりか、企業のDXのスピードの低下も避けられません。DXを実行している組織の約83%が、ITの効率性と生産性を向上したいと考えています。インテグレーション戦略を立案・明示することで、ITチームはプロジェクト目標の達成のために連携しやすくなります。

また、価値のあるAPIインテグレーション戦略には、次のような利点もあります。 

  • インテグレーションの簡素化:コンポーネントとしてのAPIは、アプリケーション間の情報のやりとりを簡素化し、さまざまなタスクの実行能力を強化する。
  • インテグレーションの向上:APIはインテグレーションを促進し、組織固有のニーズに基づいて個別のソフトウェアプラットフォームを相互に連携させる。よって、企業はより優れた成果を上げるとともに、開発コストの最小を実現。

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