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多くの企業が API 主導のインテグレーション戦略を採用して、変化の速い市場に適応するための俊敏性と柔軟性を高めています。API の再利用を可能かつ促進するようなサービスの利用を、社内の開発プロセスとして標準化することで、増え続けるアプリケーションやプラットフォームをストレスなく連携させることができます。こうしたサービスは、「コンポーザブルエンタープライズ (組み換え可能な組織) の構築」「価値を作り出すビジネス機会の創出」そして「DX のスピーディな実現のためのインテグレーション負担の軽減」のために欠かすことはできません。

マルチクラウド戦略のための API ポータビリティの課題

事業部門のリーダーは進化するビジネス要件に対応するため、デジタル担当者や SIer などのサプライヤー企業に多くのことを期待しています。以下のリストはその一部です。

  • 新製品や新サービスを上市するまでの期間の短縮
  • 運用コスト(更新費用を含む) の削減
  • 24 時間 365 日の可用性の実現
  • 設計段階からのセキュリティの組み込み
  • 障害への耐性
  • リスクの削減
  • 市場の脅威・機会・規制へのスピーディな対応
  • 確実な ROI (投資収益率) の実現

多くの企業は、プライベートクラウドやオンプレミスといった環境に置かれているアプリケーションやシステムを、上記 8 つの項目を満たしながら運用することの難しさに悩んでいることでしょう。本格的に取り組むほど、多大なリソースと投資が必要になってしまうのです。この課題に対処するための最新のアプローチは、ハイブリッドクラウド戦略やマルチクラウド戦略、その両方を活用することです。それにより、顧客や従業員、パートナー企業に、コネクテッドなデジタルエクスペリエンスをより迅速に提供することができるようになります。

すべての企業は、重要な (優先的な) ビジネスサービス (IBS: Important Business Services) を有しており、主要な製品やサービス、プロセス、機能を企業全体でサポートしています。イギリスの金融業界では、さらに特殊な規制 (IBS)を守る必要があります。

デジタル製品を IBS として定義してみましょう。パブリッククラウドの活用方法に変化は起こるのでしょうか?AWS や GCP、Azure などのクラウドプロバイダーに縛られることなく、「柔軟性」や「俊敏性」、「ビジネスチャンスへの対応力」を維持するために、企業はどうすればよいのでしょうか?

クラウドトランスフォーメーション ~ プライベートからパブリックへのスムーズな移行

パブリッククラウドのプラットフォームやテクノロジーを自社の IT アーキテクチャ (の一部として) 活用する試みには、成功例もあれば失敗例もありました。成功した企業は、下図のようなアプローチを採用しています。

パブリッククラウドへのトランスフォーメーションで価値創造の機会を導き出す

このトランスフォーメーションのプロセスは、組織の IT の成熟度とリスク許容度に応じて異なります。トランスフォーメーションに着手したばかりの組織は、さまざまな戦略を評価していることでしょう。たとえば、アプリケーションやデータ、インテグレーションを安全にクラウドに移行するための「コスト」と「メリット」を考慮したうえで、「再設計 (高度な変更)」、「再構築 (多少の変更)」または「再ホスティング (最小限の変更)」のいずれを採用すべきでしょうか?

正解はユースケースによって異なります。「クラウドの導入と API ポータビリティに対応できるアプリケーションやデータ、インテグレーションの設計を早めに検討しておくこと」、そして「労力とコストを最小限に抑えつつ、市場変化への準備態勢を技術面とビジネス面の両方で整えること」が必要になります。

クラウド利用の成熟度が高い企業にとって重要なのは、「主要なデジタルサービスをシームレスかつ柔軟にクラウド間で移行させること」と「クラウドプロバイダーによるロックインを防ぐようなアーキテクチャ戦略を描くこと」になります。クラウドを移行しなくとも、これらを準備して置くことが重要なのです。

利用中のクラウドサービスよりも別のクラウドプロバイダーがコスト競争力がある場合や、自社の IT インフラストラクチャにとって最善の機能を提供している場合はどうすべきでしょうか?その回答は、「多額の投資をせず、デジタルサービスをクラウド間でシームレスに移植できるかを検討する」となります。

API ポータビリティとは?

API ポータビリティとは、ある (利用中の) テクノロジープラットフォームやクラウドプロバイダーから別のプロバイダーに API を簡単かつ柔軟に移行できる『能力』のことだと定義できます。それは、クラウドトランスフォーメーションやプロバイダー側の仕様変更によって発生し重要になることでしょう。ここで API には、「サービスコントラクト」「ビジネス実装ロジック」「バックエンドアプリケーション」「データソースへのコネクター」などが含まれます。

API ポータビリティは、API 戦略を効果的に実行するための重要な要素となります。API ポータビリティを有していれば、上図のようなクラウド導入プロセスをスムーズに完了するだけでなく、業界規制や社内ガバナンスの基準を満たすことも可能になります。さらに、特定のクラウドプロバイダーにロックインされないような体制を築きながら俊敏性と柔軟性を獲得することで、市場や顧客、従業員からの要求にスピーディに対応できるようにもなります。

クラウドプラットフォーム間の API ポータビリティは、ロックインを防いでリスクを軽減すると同時に、変更への『柔軟性』と『俊敏性』をもたらす

クラウドへの適応とポータビリティの実現のための設計

クラウドトランスフォーメーションにおいて、「クラウドへの適応」と「ポータビリティの実現」という課題を解決するためのベストプラクティスは数多く存在しています。いずれも、IT アーキテクチャと設計が重要なカギとなっています。これらのベストプラクティスを採用し API 戦略に組み込み、かつガバナンスとして運用フェーズに適用することで、ハイブリッドクラウド環境であろうがマルチクラウド環境であろうが、ポータビリティを確保できます。

1. オープンスタンダードを活用する(含:セキュリティ)

API 設計の仕様である「OpenAPI」「RAML」「GraphQL」「AsyncAPI」などに加え、セキュリティ標準である「OAuth」や「OIDC」などは、最新のサービスやクラウドによって広くサポートされています。またこれらの標準を利用することで、「API コントラクト」を異なる API 管理ツールに簡単に移植できるようになります。したがって API 設計では、こうした標準を積極的に採用することで相互運用性とサポートを最大化しなければなりません。

2. マイクロサービスを推進する

自社の IT アーキテクチャにマイクロサービスを採用すれば、企業は再利用可能なビルディングブロックを作成できるようになります。これにより各マイクロサービスは、①ビジネス指向で、②相互運用性に優れ、③独立したセキュリティで保護され、④需要に応じてアジャイルに拡張可能な設計が実現できます。その結果、企業はコンポーザブル (組み立て可能) なアーキテクチャを構築でき、『俊敏性』と『拡張性』が獲得できるため、市場の変化や危機、チャンスに対してイノベーションを迅速に生みだすことで対応することが可能になります。マイクロサービスのアプローチを採用するとポータビリティをスムーズに獲得。リスクや複雑性を抑えながらアプリケーションのコンポーネントを個別かつ独立に移植できるようになります。

3. コンテナを活用する

Docker やそのパートナーシップをはじめとする、コンテナテクノロジーにおける最近の進化により、物理または仮想のハードウェアを新たにプロビジョニングする必要はなくなりました。すなわち、アプリケーションを即時にデプロイ (またはアンデプロイ) できる基盤が提供されるようになったのです。

コンテナはマイクロサービスのデプロイにとって理想的な選択肢です。「機能をカプセル化して (シームレスに) 実行する」というマイクロサービスの哲学に則しています。すべての主要なパブリッククラウドはコンテナをサポートしており、アプリケーションに『ポータビリティ』と『拡張性』、『相互運用性』をもたらします。

4. アーキテクチャの階層化により疎結合を採用する

アプリケーションのコンポーネントが密結合していると、柔軟性、適応性、変更への対応力に欠けた脆弱なアーキテクチャの原因になります。疎結合を採用することで、API プロバイダー (開発企業) とその利用者の依存関係を最小化できます。API により示されるコントラクトを標準化すれば、利用者はサービスの実装が変わっても影響を受けません。API 主導の接続性のアプローチと疎結合アーキテクチャを採用することで、IT 部門は『自律性』と『変更の独立性』『俊敏性』を得ることができます。そのため、API 管理 (特に依存関係に関する管理や統制) に使うリソースや時間は最小限に抑えることが可能になります。

5. あらゆるクラウド上で動作するテクノロジーを活用する

特定のクラウドに依存せず、どのクラウド上でも動作するテクノロジーを活用すれば、真の意味でのポータビリティが実現できます。これには、API やインテグレーションをアプリケーションとしてクラウド、仮想マシン、物理サーバーにデプロイできるだけでなく、再設計することなくデプロイ先を変更できる機能も含まれます。このアプローチにより、企業は、アプリケーションと API を一度記述さえすればどこででも実行できるようになります。

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結論

クラウドの導入やクラウドトランスフォーメーションの一環としてポータビリティを考慮した設計は簡単ではありません。うまくいけば、企業は、①業界規制を遵守し、②クラウドプロバイダーのロックインを防ぎ、③市場の需要に俊敏かつ柔軟に対応できるようになります。以下の 5 つのベストプラクティスは、ポータビリティのためのソリューション設計のためのカギとなります。API 戦略の構成要素のひとつとして導入してください。

  • オープンスタンダードを活用する (含:セキュリティ)
  • マイクロサービスを推進する
  • コンテナを活用する
  • アーキテクチャの階層化による疎結合を採用する 
  • あらゆるクラウド上で動作するテクノロジーを活用する

MuleSoft の Anypoint Platform は、この 5 つのベストプラクティスをすべてサポートしています。もちろん、それらはすべて実証済みであり、多くの企業が、ツールのみではなく運用モデルとして導入しています。Anypoint Platform により企業は、ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの両環境下において、優れたポータビリティとレジリエンスを獲得。完全なコンポーザブルエンタープライズ (組み立て可能な組織) の構築が可能になります。


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